at Oji station

堀江敏幸 『いつか王子駅で』(新潮社)読了
今回は東京下町が舞台の純文学ともエッセイともつかぬ作品。
印章彫り師の話、地元の定食屋、島村利正『残菊抄』
徳田秋声『あらくれ』などの引用、
都電荒川線沿線の風景、古書肆との会話
教え子の陸上大会、そして競馬の思い出など
地味極まりないキーワードを複雑に絡めて清冽な日本語で描いてゆく。
 なるほど「のりしろ」か。私に最も欠落しているのは、おそらく心の
 「のりしろ」だろう。他者のために、仲間のために、そして自分自身
 のために余白を取っておく気づかいと辛抱強さが私にはない。
なんか身につまされる一文…。

さて、著者を問わず読む本読む本に競馬の話が出てくる。
今回はなにしろ『書斎の競馬』(飛鳥新社)に連載されていたらしいので
筋金入りである。(そんな雑誌があったとは…)
一度、競馬場に行ってみたいものだ。

at Oji station” への2件のフィードバック

  1. 「いつか王子駅で」友達に借りて読んだ覚えがあります。
    3年くらい前かな。
    飲み屋の女将さんが出てくる話じゃなかったでしたっけ?
    …ってかなりうろ覚えです。
    でも、文章が地味なのに読みやすかった気がします。

  2. そうそう、素敵な女将さんが出てくるやつ。
    あれで荒川遊園の観覧車に乗りたい衝動が。
    路面電車、わりと近所を走っているんですけど
    いまいち乗る機会が無いのですよねー。
    たまにはのんびり乗りたいな。

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