カテゴリーアーカイブ: Kimono

Camellia

Camellia

着物は、その花が咲いているときに着るのは
花と競うようで野暮だと言われているらしい。
とはいえ、蘭、竹、菊、梅は四君子という植物のなかでも王様のようなものなので
通年着てもいいなどという超越的なルールがあってわけがわからない。
(とはいえ、やはり蘭が春、竹は夏、菊は秋、梅は冬なんだと。)

最初のころは頭でっかちに、野暮だと思われるなら避けようと思ってたのだが
洋服では滅多にそんなことできないのだから
桜の時期に桜の着物、蓮の時期に蓮の浴衣、紅葉にはもみじの羽織などなど
旬の柄を着るのもいいんじゃないかな、と思うようになってきた。
風景のなかに本物の花と、その柄の着物を着た人がいたら
とても素敵だと思うから。

落椿は春の季語だ。


kyogen lounge

先日は、キモノでセルリアンタワーの能楽堂へ。

Kyogen Loungeという、若手の狂言師の方々が
有志で「もっと狂言を身近に」ということで毎月開催されているイベントらしい。
狂言を習っているおともだちが、最近キモノにドハマリしていて
キモノつながりでお誘いいただいたのだった。

トルコ料理屋でがっつり食べて、いざセルリアンへ。

さて、メインの狂言の演目は『附子』。
その前に、ものすごく新しい試みとして裏方公開があった。
衣装を着つけるところを見せてくれたのだが
みなさん楽屋では紋付袴だそうでかっこいい。
「今まで男はスーツだと言っていたが、これからは『男は紋付』ということにする!」
と熱く語ったら、「いや、あのかっこよさは袴がメインなんだ」と諭された。
上は浴衣でも袴を履くと格段にかっこよくなるらしい。
な、なるほど・・・!

『附子』は教科書に載っているくらい有名な話らしい。
初心者向けのイベントなので、ちゃんと事前に解説が入るのもよかった。
もっとずっと何を言っているのかわからないかと思っていたが
結構セリフも聞き取れるし、アクションも大きくて面白い。
ちゃんとコメディとして笑えるものなんだな。

ボランティアで盲学校で演じたりすることもあるらしいが
目の見えないこどもたちも、音だけでどっと笑うんだそうだ。
すごいことだ。

終わったあとは狂言師の方々とお話したりもできて
なかなか得難い体験であった。

メインの狂言のほかにも、DJブースあり、バーやケータリングもあり
フレアバーテンダーのパフォーマンスあり、
和柄の洋服ブランドやデニムのブランド、果ては
オーダーメードのテーラーの方々まで出店を出して
かなり賑やか。本当に狂言を見まくっている人には
1演目で5000円というのは高いらしいが
入門で、これから見ようという人には楽しいイベントだと思う。

ちなみにキモノを着ていくと1000円引きなので
ご興味がある方はぜひー。


parts


銀座松坂屋に、浅草橋のパーツ屋「貴和製作所」が入った。
広大な売り場に、ゴージャスな内装で、専用のラボまであって
いかにも銀座ってかんじのラグジュアリー加減であったが、
あんなに土地の高いところで、1つ50円とか60円とかのものを売っていて
大丈夫なんだろうか…
と思っていたら、向かいのメルサにはユザワヤが入っていた。
東急ハンズもできちゃったし、なんか銀座が新宿化しているなあ。
貴和で買ったパーツで、壊れた携帯ストラップを
帯飾りに改造。
もう夏も終わりだけど、なんか涼しげなのができた。


bon weekend


■ 土曜
同僚から「ianakでパン買った」というメールが来たので
いてもたってもいられず、自転車でよみせ通りをかっとばして
ianakまで行ってパンを買ってきた。
ほんとうにパンが好きな人たちが、楽しく一生懸命やってるふうで感じが好い。
もちろんパンも美味しかった。
週末のサンドイッチは食べ頃のカマンベールと、生ハムと、青リンゴ。
なんだか昼からワインが飲みたくなっちゃったよ。
掃除をして、洗濯をして、ユニクロのリサイクルに出すものをまとめ
友人たちに返却する本やCDをまとめ、、
デスクの袖机の中に入っている「いらないもの」をいっさいがっさい捨てる。
もともと、あまりものを溜め込む性質ではなく
必要なものしか手元に置いていないつもりなのだが、
定期的に掃除をしないと抽斗があふれてしまう。
70%くらいの収納率というのが理想的だが、なかなかそうもいかない。
あと捨てたいのは脂肪・・・・
思い立って安いミシンをポチっと購入。
家にある20年選手は、大きくて重くて、しかも調子が悪い。(最悪)
この間、簡単な縫い物をしようとしたが糸が絡まり
モキー!となったので買うたった。
■ 日曜
午前中、REGALのファミリーセールの招待券をもらったので、REGAL本社へ。
銀座や百貨店に出店しているので、本社はさぞ一等地にあるのかと思いきや、
千住大橋にあるのだ。渋い。
昭和なかんじの敷地内に倉庫があって、そこで革靴が叩き売られていた。
黄色いパンプスを購入。
帰宅したら、昨日買ったミシンがもう届いてびっくりした。早すぎる。
午後、靴底がはがれてしまったローファーを購入店舗に持って行く。
今シーズン買ったばかりなのに、数回履いただけで靴底がはがれた。
あり得ん。
「工場に戻すと時間がかかるので、応急処置でよければ30分ほどで修理しますが…」と
あきらかに、工場に送り返すのが面倒~というように店員が粘るので、
「そもそも根本的に造りが甘いような気がしているので
応急処置ではなくて、工場で が っ つ り 直してください。
もちろん無償かとは思いますが、万が一有償だったらご連絡ください。」
と言い放って押しつけてきた。
そもそもこれはあんたの台詞だ、と念を込めて言ったのだが
彼には伝わっていないだろう。
その後、履物問屋で下駄を2足新調。
ひとつは鼻緒と台を選んで、すげてもらった。
ちょっと値ははったけど、友人が市松のかっこいい鼻緒を見つけてくれて
きりっとしたかっこいい下駄になった。わーい。
そんなこんなで、日曜日は履物に縁のある一日であった。


marche


今日は友人と日本橋に浴衣を見にゆく。
まずは利久庵さんで蕎麦。
昼間っからビールは最高ですなー。
わたしは美味しいと評判の納豆蕎麦をいただいた。ウマー!
昔は饂飩のほうが好きだったのに、最近は断然蕎麦だ。
三越は、さすがの品揃え。
あそこは女性だけでなく、男性の販売員でも着物を着ている人がいるのは流石。
○に「越」のマークの前掛けをしていて、江戸時代、呉服商の頃の三越には
こんな人が反物広げて右往左往してたんだろうなあ、というかんじで愉しい。
たいそう渋くてかっこよかったよ。
竺仙さんのはさすがの古典柄で本当に美しかったし
仕立て上がりで欲しいものもいくつか。
「このあいだ白地の綿紅梅を買ったばかりじゃないバカバカ」と思いつつ
「でもこういう柄ゆきは持ってないし…」なんてぼやきつつ
最終的には自分との戦いになるのであった。
その後、高島屋と、上野の鈴乃屋をひやかしたが
やはり三越が一番ツボに入ったラインナップで、
店員さんのかんじもよく、あそこで買いたい、と思わせる何かがあった。
それに日本橋三越本店のあのアールデコ風な建築は
なんかときめくんだよな~
今日は蒸し暑くて、ポリの襦袢にポリの単衣を着ていたのだが
ずいぶん汗をかいてしまった。
5月後半~6月は木綿の単衣がベストだな。


vêtements


■ aptform
週末は友人のギリシャ人デザイナーのミハイルが
代官山のマンションで展示即売会をやったので顔を出す。
ほんとうに哲学のあるデザインだし、素材にもこだわって
着ていて気持ちのよい服ばかりだ。
山本耀司とか、三宅一生とか、川久保玲とか
あのへんが好きな日本人は理解できると思う。
宮本亜門氏がお気に召したそうでTV出演のときに着てくれたそうだ。
これを機に、もっとみんなに知ってもらえるといいな。
わたしは定番の白いシャツを1枚お持ち帰り。
AWの14ゲージのカシミヤ混のニットカーデはオーダーした。
夏に届くのが楽しみだ。
I氏はサンプル品のカーデを購入。
日本でサイズの合う服をゲトできて喜んでいた。よかたね。
aptform
■ キモノ
銀座のアンティークモールで衝動買い。
亀甲柄の銘仙(こんなどぎつい色づかいで単衣ときた。夏には迷惑なくらい暑苦しい)と
ターコイズとフューシャピンクのツートンカラーという
これまたどぎつい色づかいの名古屋帯。
普段洋服だと、黒か杢グレイにデニムという貧乏学生みたいな服ばかりのくせに
ことキモノになるとビビッドなものを好んで選んでしまうのは反動かもしれない。
体型が体型なので、いわゆるアンティークのキモノというのは身体に合わず
裄も丈も短い。でも大正モダンだったりアールデコのにおいがすると
つい買っちゃうんだもんね。
キモノ部の人々は同じアンティークでもまったく毛色が違うのでかぶらない。
いわば、ゴルチェとシャネルとラルフローレンとウンガロくらい違うのだが
着物というだけで十把一絡げに「今日なにかあったんですか?」と皆に聞かれるのが愉快。
その後、伊東屋の前でまちあわせてI氏と丸の内のヴァンピックルで食事。
月曜に行くと、いつもの豚1頭がぶらさがってて壮観。
丸の内~二重橋前あたりの夜は好きだ。
道が綺麗だし、銀座みたいに人が多くないし、皇居が近いので風が通る。
東京の真ん中にいる気がする。


pathos

■ books
鳩山郁子「スパングル」(青林工芸社)
買って1年近く、ビニールに包まれたままだったのだが
ようやくとりだして風呂で読む。
しばらく昔の作品集だと言うことに気づかず読んでいた。
水琴窟の音を聴いてみたい。
水琴窟フォーラム・・・
■ キモノと旅
先週はキモノで熱海へ。
だるだるとコンドミニアムでDVDを見て、温泉に浸かって
ひたすら宿でキモノをとっかえひっかえして遊んだ。
旅行というと、くたくたになるまで観光してしまうので
たまにはこういうゆるーいのも良いものだ。
来宮神社の大楠様にもお参りしたし大満足。
■ 服
友人のギリシャ人のデザイナーMichail Gkinisのブランド「aptform」09AWの展示会へ。
本当に丁寧に作っていてコンセプトもしっかりしていて素晴らしい展示会だった。
それでも事務所が墨田区にあるとか、日本で参加したグループ展の時期には
有力なバイヤーがみんなNYに行っているとか
バイヤーが上司に「パリでみつけてきた」って言ったほうがキャッチーだとか
そんな些末な理由で日本のバイヤーにはとりあげてもらえない、という
悲しい話を聞いた。日本のバイヤーって何やってんだ、ほんとに。
だから洋服はどんどんつまらなくなっていくし、みんなユニクロでよくなっちゃうんだ。
(ユニクロにはちゃんと哲学もコンセプトもあるけど、それだけしかないのは絶対に嫌だ)
さっさとParisの展示会に出て、逆輸入させたらいいよ。

http://www.aptform.com


その後、新宿のルミネエストに行ったら、
フロア全体がイトーヨーカドーの洋品売り場のようになっていて萎えた。
どっからどこまでがひとつのブランドなんだかわからない。
セールが終わった瞬間、店頭のマネキンは全部パステルカラーの服着てる。
げんなりする。
OIOI ONE某店で、コンセプトのしっかりしたブランドを見たら
ちょっと回復したけど。
「豆千代」で、獏の帯留を買った。
あそこにいる伊藤文学みたいなおじいさんが謎すぎる。


water runs through it


金曜、深夜まで仕事して、そのまま麻布の「AZABU草ふえ」さんに行って朝まで飲んで
昼間は死んだように寝て、起きてキモノ着て、近所で女5人で姦しく飲み。
そういえば、今読んでいる幸田文の『姦声』は
随筆とも小説ともとれる不思議な文章なのだが
そのなかに
「下町の女には貴賤さまざまに、さらさら流れるものがある。それは人物の厚さや知識の深さとは全く別なもので、ゆく水の何にとどまる海苔の味というべき香ばしいものであった。さらりと受けさらりと流す、鋭利な思考と敏活な才知は底深く隠されて、流れをはばむことは万ない。流れることは澄むことであり、透明には安全感があった。下町女のとどこおりなき心を人が蓮葉とも見、冷酷とも見るのは自由だが、流れ去るを見送るほど哀愁深きはない。」
というのがあって、今日集まったのは別に下町女ばかりではないのだけれども
幸田文のこの鋭利な文章で描かれる下町の女のような魅力があるよなあ、と
しみじみ思ったのだった。
各自、他人に話せば相当深刻に受け止められる状況を背負ってたりもするが
それでもその隙間に酒飲んで笑うことだってできる。
それでなんとか立っていられる。
たまには力抜いて、適当に、美味しいもんでも食べてさ、などという
陳腐な慰めにムカつきつつ(美味しいものは好きだけど!)
綺麗なキモノ着て文学とか芝居とか花の話をして
それから現実に戻る。
持つべきものは美しい女ともだちだよ。


book memo

青木玉 『着物あとさき』 (新潮文庫) 読了。
この人の文章の品の良さは昔から好きであったが、
着物まわりのエッセイは初めて読んだ。
「祖父は、自分の力を上回る佳いものを与えられた時は
恐れずにその佳さを知り、努めて自分の能力を高め、
与えられたものを享受することこそが真に福を得たといえると説く。」
こういうことを、自分の祖父ではなく他人の祖父(幸田露伴だけど!)から
教えられるのであるから、やはり本は食わず嫌いせずに読んだほうがよいな。