Journal読書

Do you love Tokyo?

この歳になって初めて荒俣宏の『帝都物語』を読み始めた。
周囲からは「今さら?」とか「遅すぎる」とか「読んでないなんて信じられない」
などと謗られつつ。

自転車通勤の途中で撮影した日本橋の麒麟の写真を見た同僚が
どさっと文庫全巻とDVDをくれたのだ。

映画も小学生か中学生の頃におぼろげに観た記憶があるのだが、内容はほぼ覚えておらず
読み進めるうちにこんな話だったのかと驚くことばかりだ。
そもそも、風水バトル的なホラーアクションかと思っていたのだが
これは東京という都市が主役の幻想奇譚なのだな。
軍国主義の昭和になるにつれ話がどんどん重く暗くなってくるが
明治から大正にかけてのまだ江戸の面影が残るエネルギッシュな東京の描写は楽しい。

皇居周辺、銀座、麹町、赤坂あたりの中心部から、
文士や研究者たちの済む本郷、閑静な千駄木、不気味な谷中、
浅草、上野の雑踏、地下鉄のことなど史実に基づく?部分のほうが面白い。
「日暮里から谷中の霊園をぬけ、三崎町から千駄木の団子坂をあがり
本郷のほうへ走る」などという描写は時代は違えど距離感、坂の勾配などリアルにわかる。
ちなみに谷中三崎町に(みさきちょう)とルビがふってあったが
これは(さんさきちょう)であるべきかと。

そういえば、學天則を造った西村真琴博士のご子息・名優の西村晃さんは
祖父の戦友であった。映画では晃さんがお父様の役をやられたのですね。