結婚式から一ヶ月経って、旅行からも帰ってきて、
写真もできあがってきて、ようやく冷静に結婚式のことを
思い出せるようになった。
当初、わたしたちは、結婚式なんてやらなくてもいいんじゃないかと思っていた。
自分が呼ばれれば嬉しいだけのくせして
いざ自分が呼ぶ側になると、来る人は面倒くさいんじゃなかろうか
お金もかかるし、身支度も面倒だし…と思ってしまうのだ。
とはいえ家族の一押しもあり、式はやらないわけにはいかないぞムムム…
ということになり、なるべく全員の負担が軽くなるようにと考えたのが
「式と食事会は親族のみ、パーティーは友人のみ。しかも近所で。」というものだった。
あとから考えればパッケージでホテルにたのんだほうが
どんなにか楽だったのだが、なぜか近所で、自分たちで用意しよう、と
無言のうちに決めていた。
結婚式は家から徒歩5分のところにある根津神社、
食事会は森鴎外の旧居がある水月ホテル鴎外荘にした。
これはもうほぼ一択だったのだが、あとから考えると、準備に時間がないなかで
ほぼ全ての準備を徒歩&チャリで移動できるというのは大変助かった。
■ 式
つつじ祭がはじまっているので、式は午前中のみ。
集合が午前九時になってしまい、遠方から来てくれた親族たちは
大変だったことと思う。これは反省点。
わたしと母は早朝から神社で支度をする
まな板の上の鯉状態で、テキパキと演歌歌手のような絢爛豪華な装いに仕立て上げていただき
神社の前庭でスナップを撮ったり、集合写真を撮ったり
控え室で親族紹介をしたり。思いのほかゆったり、みんなと会話をしつつ過ごす。
根津神社の控え室は畳敷きの大広間で、よく手入れされた庭が見え、とてもよい。
神社では、式のリハーサル(約3分)をやって、いきなり本番。
式はさらっと終わり、鴎外荘までの移動は人力俥で。
実家の前の坂をよいしょよいしょと登っている音羽屋さんを凸撃でつかまえて
アポを取り、わたしたちと、あと両家の両親をのせるために3基用意していただいたのだ。
結婚式用に飾り付けた人力俥にのって、木遣りを流しながらゆっくりと正門から出る。
不忍通りを進んでいくと祭の人や沿道の人がみんなおめでとう!と言いながら
見送ってくれて嬉しかった。
まさかのアトラクション付きで家族も楽しかったようで、これは成功。
■ 食事会
司会進行も自分たちで、招待状も席次表も手作りで(by 浅草橋シモジマ)
披露宴というにはささやかすぎるので「食事会」ということで。
神社の控え室で食事会をすることもできたのだが
やはり熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいまま提供したいという
だんなさんの意向により(さすが調理人)鴎外荘で食事会。
親戚のちびっこたちがみんなで一輪ずつお花をくれたのが可愛くて嬉しかった。
■ パーティー
それから浅草に移動して、アサヒビールの最上階にある「レストランアラスカ」でパーティー!
友人、学友、恩師、同僚、だんなさんのお客さんなど総勢70名ものかたに
お集まりいただき、久々に会えた人もたくさんいて、
本当に楽しいパーティーだった。
最後の「新郎から新婦への手紙」は、ほんとにほんとのサプライズで
ノーガードだった私は涙がでるというよりも笑ってしまったのだが。
老舗のレストランで、食事も美味しかったという話を聞いて
ファーストバイトで肉一切れしか食べてない私たちは悔しい思いをした。
今度食べにいってやる。
ふらふらになってタクシーで帰宅。
とりあえず燃え尽きつつもお腹は空いていたので
b様に作ってもらったザーサイチャーハンをかきこんで撃沈。
ジャンクな味がうまかった…。
■ 結婚式
東京に生れて仕事もしていて親族や地域の人間関係も希薄だと
結婚式なんて金もかかるし面倒だしこっぱずかしいしで
パスしたい気持ちでいっぱいだったが
最後の最後に拠り所になるのはこの人たちなんだと「認識する」ことが重要なのだ。
家と家が契約で結ばれるというこの歴史のある奇妙な風習には、
儀式というものが必要なのだな、と。
大学の頃、授業で西谷修氏が
「葬式は死者のためではなく、生きて残された人たちのための儀式であり
死者は不在なのだ」と(いうようなことを)言っていたのを妙に覚えていて
葬式があるたびにこの言葉を思い出すのだが、
結婚式もそうなんじゃないかな。
新郎新婦が金がないとか面倒くさいとか、んなこたどうでもよくて
それをとりまく人々が、この儀式を必要としている。
そんなわけで、式の最中はフワフワした現実離れした気持ちで
斜め上から結婚式をしている自分を自分がみているような感覚があった。(幽体離脱。)
もし今まさに結婚するかもしれない状況で
とりあえず先立つものもなんとかなりそうで
かつ、結婚式をやろうかどうしようか悩んでいる人に相談されたら
「自分の気持ちはおいといて、やったほうがいい」と言うことにします。
今までは、「面倒くさかったら、べつにいいんじゃない」と言っていたので
これは大きな変化だと思う。
■ 謝辞
式も食事会も自分たちで仕切ろうとしたもので、
自分達がいっぱいいっぱいになってしまい、
二次会では皆さまに丸投げしてしまったところがたくさんありました。
もっと細かく指示してくれよ、と思うところがたくさんあったかと思います。
どうもやり直しはできなそうなので、改善はできないけど反省だけはしています。
- 諸々、こちらの状況を汲み取って、式にぴったりの司会進行、演出をしてくれたあやこさん
- 乾杯の挨拶をしてくれたhさん
- 生演奏で大好きな「The Rose」を聴かせてくれたmさん&wさん、
- 裏方でしっかりささえてくれたmori、parulu、n倉さん、ashley、
- 「月とハシビロコウ」のかわいすぎるウェルカムボードをつくってくれたみわみわ、
- そしてお忙しいなか時間を作って参加してくださった皆さま
本当にどうもありがとうございました。
また、今回「地元に根付いた結婚式を」という妙なコンセプトにまきこまれた皆様・・・
- 厳粛な式と、最初から最後まで丁寧に介添をしてくださった根津神社の皆さま
- テキパキと婚礼衣装の支度をしてくださった美容室のイソヤさん
- 古書を模した箱と香袋を使って、素敵なリングピローを作ってくださったmさん
- 美味しいお料理とおもてなしをしてくださった鴎外荘の皆さま
- 親身に相談に乗ってくださり、おいしい料理を提供してくれたレストランアラスカの皆さま
(「肉入刀」はアラスカのkさんの案です) - 刺繍の黒引きと、染の中振というかっこいい婚礼衣装を届けてくださった浅草の大菊さん
- 上品な引き菓子に特別にブルーのリボンをかけてくださったAtelier de Florentinaさん
- かっこいい白装束と軽妙なトークで人力俥をおしてくださった音羽屋さん
- 鴎外荘のクラシックな内装を一気にアヴァンギャルドにしてくれた装花担当の198 Queen st. Kingstonさん
- 遠方の友人への内祝いに美味しいベーグルを届けてくださった旅ベーグルさん
- ややマニアックかつ素敵な写真を駆けまわって撮影してくれた写真家・七戸隆弘さん
本当にどうもありがとうございました。
さいごに、はじめてづくしで戸惑ながらも一緒に乗り切った
だんなさんと家族にありがとう。