駅から眺めた空。
あまりに複雑な色だったので。
もっと夕焼けが見たくて、カメラをかまえたまま
墓地のわき道を、ふらふらと怪しい動きで入っていったので、
わたしの姿を見た人はかなり怖かったと思われる。
あまり人の通らない土の道はふかふかしていて、
突然足元が凹んだりする。
「ひゃあ」と情けない声をあげたりしていたので
その声を聴いてしまった人はかなり怖かったと思われる。
卒塔婆が入らないように墓地の奥の奥まで入り込んだら
行き止まりになっていて、いつもの抜け道が見つからない。
小学生の頃は、この広大な墓地で道に迷って途方に暮れて
電車の音の聞こえるほうまで半泣きで歩いたりしたものだなあ。
今でも怖いんだから、あのころの自分は
もう絶望的な心境だったに違いない。
かわいそうに。
有栖川有栖 『女王国の城』 あとちょっとで読了。
とうとう「読者への挑戦」まできてしまった。
もうちょっとでこの小説が終わってしまうのが悲しい。
この小説、主人公たちが「城」と「村」に閉じ込められて出られない
所謂”closed circle”ものなのだが(カフカの『城』も引用される)
小学生のころの、迷子になって出られないあのかんじを思い出してしまった。