Bizen-Teshima-Tokyo

おくどさんのあるキッチンで叔父の焼いたパンと叔母の淹れてくれた珈琲を飲んで出発。

宇野港からフェリーで豊島(てしま)へ。12年前に新婚旅行で瀬戸内海に来たときにもこの備前の家には泊めてもらい、翌日叔父と叔母と一緒に犬島に行ったのだ。今年は瀬戸内国際芸術祭2022の会場でもあるが今はちょうど端境期なので見られるのは常設展示のみ。

到着後、予約していたGS兼レンタカー屋の社長さんが手書きの地図とともに完璧なルートを提案してくれる(なぜ)。行くまでに総合的な情報を得るのが難しくて、観光のイメージがほぼできてなかったのでこの提案は非常にありがたかった。しかも各見どころのペース配分も完璧で、無駄なく3つのメイン展示場をめぐることができたのだった。ありがとう「レンタカーあき」の社長……

道路と海がつながる場所でジャンプする叔父

ひとつめは「豊島美術館」。美術館といいつつ作品は内藤礼と西沢立衛の手掛けたアートスペースひとつしかない。それは見る、というよりも入るというほうが正しい構造物で、みな思い思いにリラックスして静謐で繊細な空間を楽しんでいるのがよかった。

ふたつめはクリスチャン・ボルタンスキーの「心臓音のアーカイブ」。鳥居を抜けた先、砂浜に面した小屋で7万人以上の心臓音のアーカイブを検索・体感することができる。ちょうど去年の7月に鬼籍に入られたボルタンスキー本人の心音を検索して聴き、たしかにこれは生きていた証だなあと感じる。わたしも心臓音を登録した。

みっつめは「豊島横尾館」。築100年を超える古民家を横尾風にリノベーションした建築と横尾忠則の作品が11点展示されている。庭のギミックが凄い。あやうく豊島美術館の静謐な作品の記憶がぶっとびそうになるが、最後の最後で圧倒的なパワーをもらった(殴られた?)気がする。

豊島の暑さも相当なものだったのでレンタカーで大正解だった。レンタサイクルだったら死んでたかもしれない。

帰りは高速艇で宇野港まで。岡山駅まで送ってもらい新幹線で帰京。短い時間だったが鳥取〜島根〜岡山と中国地方を縦断し香川県にまで到達した大冒険の3泊4日だった。