On the Milky Road

エミール・クストリッツァ監督『オン・ザ・ミルキーロード』

クストリッツァへの愛が重すぎてうだうだしていたら都内は明日が最終日だというので自転車で角川シネマ有楽町まで行ってきた。ビックカメラの8Fなのだが、昔からこんな劇場あったっけ?

それはさておき、あいかわらず「なんじゃこりゃあ!」というような殺伐系おとぎ話。もう老境に近い中年の愛の逃避行なんだけどモニカ・ベルッチがいい女すぎてクストリッツァがイケメンに見えてくるから不思議である。今年の夏、セルビアから旧ユーゴ一帯を周遊したときに車窓から見た集落、ごつごつとした岩山、銃弾の跡や焼け落ちた壁などがそのまま映っていて、90年代の紛争の凄惨さも垣間見える。

そう、作中でクストリッツァが隼とともに弾いているハンマーダルシマーによく似た楽器はツィンバロムというらしい。原始的なピアノのような、まあるい幻想的な音である。彼はピアノも弾いているが、このパーティのシーンが最高で、いつまででも見ていたかったなあ。

笑ってはいけないところで笑ってしまうCGに苦笑しつつも、やはり彼の映画が好きだと言い続けたい。