les timbres chinois


大伯父から手紙が届いた。
威勢のよいおやっさんなのだが、がんと闘病を続けている。
大伯母の葬式のときに随分痩せてびっくりしたのだが
夏に倒れたらしい。
4人きょうだいのうちの3人を見送って
ずいぶん落ち込んでいるようだった。
大伯父は、わたしの祖母がいちばん好きだったようで
毎日、仏前にお茶をあげて偲ぶのが日課だという。
そんな大伯父が、身辺整理をしているというので
なんだかせつなくなってしまったのだった。
なぜか親中派の大伯父からの手紙には、いつも中国の絵はがきや
水墨画展の招待状などが同封されているのだが
今回は、中国の記念切手が入っていた。
「趣味ではないと思うがもらってやってください」と書いてあった。
そんなことないよ、と思いつつ、
手持ちのなかで一番綺麗な秋の月が描かれた便箋で、
一番お気に入りの切手を貼って、すぐに返事を書いた。
明日、投函しよう。