distorted

とある印象深いできごとを思い出す時
その視点が自分のものではなくなっている、
ということに気づいてしまった。
夏になる毎に繰り返しては眠れなくなる光景には
不思議なことに自分の後ろ姿が取り込まれている。
数年前まではそうではなかった。
タイルや排水溝、バスタブ、シーツ、アンプル、
血圧計、コップの水を見ているのは間違いなく自分の視点だった。
いつからか夢のように圧縮され、歪曲されている。

これはいったい誰の記憶だろう。
なぜ形を変えながらも定点に居座り続けるのか。