7th sense

尾崎翠『第七官界彷徨』(ちくま日本文学全集)読了
タイトル読み…
読む前は足穂や澁澤を彷彿としていたのだが
幻想や表現主義とは遠い、とりとめもない物語であった。
難解な舞台を見ているようでもあった。
好き嫌いは別として、昭和ひと桁の時代に、
こんな電波な話を書いていた尾崎は凄い人なのかもしれない。
谷山浩子のアルバム『月光シアター』にも同名の曲があるので「第七官界彷徨」というのは谷山の造語かと思っていた。
I氏からのオススメで、原典は尾崎翠だということを知り、それは是非とも読まねば、待てよ尾崎翠なら文庫で持っていたはず…と本棚を探してみると、案の定ちくま日本文学全集にしっかり収録されているではないですか。探してみるものだ。
ちなみに、「ちくま日本文学全集」はセレクトが非常に良心的かつ、個人の全集を買わねば読めないようなマニアックな短編も収録されているので、とっかかりに読むには良い。
文庫なので持ち歩きに便利なのも良い。
しかし、たまに暴走している編者もいて、島崎藤村など「夜明け前 第二部のみ」、なんていう、売る気があったら出来ないようなセレクションもあったりする…