Journal読書

watermelon

台風一過の物凄くいい天気。
江國香織『すいかの匂い』読了。
小学生の頃の回想を中心として短編集だが
江國のなかで一番怖い物語集だった。
あの頃怖かったものや、嫌いだったものを、実に簡単なことばで
表層意識にひきずりだされるような感じ。
淡い水彩のような綺麗な描写なのに、なぜだかぞっとする。
そういう意味では今まで読んだなかで一番のインパクトだったかも。

小学校の頃は、谷中の墓地なんてもう途方もなく広大で
日暮里〜鶯谷間に、何本かJRの線路を跨ぐ陸橋があるのだが
その階段をあがって橋を渡って墓地に足を踏み入れると
夏は急に気温も下がって別世界のようだった。
(今でもそうだ。彼岸のいりぐちみたいなところだ。)
3箇所くらいある霊園の入り口はどれも不気味で
中に入ると行き止まりや大きな銀杏の樹に阻まれて、
巨大な迷路のようだ。墓地を迂回する道もあるのだが
いつもかならず墓地の中を通った。
全神経を集中させて脇道に逸れないように歩いていた。
今でも谷中の墓地が広大なのは変わりなく
日暮里から上野まで山手線の内側には、ぽっかりと闇が続いている。
恐怖心が薄れたせいか、思いつきで曲がってしまうので必ず迷う。
もともと方向感覚が無いので一度で徳川廟にたどり着けた験しがない。
それもまたよいのだが、墓地で迷うとやっぱり心細くなる。