素敵な偶然の出会い

以前、業界向けの展示会でちょっと目立っていたブースがあった。
とりわけ色が派手なわけでもないし、際立ったデザインでもないのだが。
“Beggars Banquet”という小さなブランドだった。
まだ発足して間もないというその会社は、これから
商品をおいてくれる店を探そう、というところだった。
でもそこのバッグたちはたいそう凝った造りで
隅々まで丁寧に作られていて、いかにもマニア受けしそうな顔だった。
昨日、上野の小さな雑貨屋で偶然そこのバッグを見つけた。
そのときは通り過ぎたが、今日になって急に気になりだし
1点ものなので、もし誰かに先を越されたら…と思うと
気が気ではなくなって、会社帰りに上野に寄った。
目当てのバッグを手に取ると店員さんが近づいてきて
大層熱心に薦めるので
「実はこれ、展示会で見かけたときから気になっていたんですよ」と言ったところ
その店員さん(バイヤーも兼ねているらしい)も同じ展示会で目をつけ
いきなり取引を始めたということが発覚。
「すごい!すごい偶然!鳥肌たちました!
この商品の良さをわかってくれる人がいて嬉しい!」と凄い喜びようだった。
鞄ひとつ買ってこれだけ感謝されたのも初めてですよ。いやはや。
きゃあきゃあ喜びを分かち合い、私は鞄をお買い上げ。
コサージュは別売りだったが鞄の雰囲気に合っていたので一緒にお買い上げ。

生地はすべて紳士服地を使っていて、ディテールも
紳士用のジャケットのモチーフを使っている。
鞄の内ポケットも玉縁始末という芸の細かさ。感服。