Jiufen 2

九份のこと。

九份は、台北からバスで1時間ほどのところにある古い街だ。
忠孝復興駅の1番出口を出ると高速バスの発着場所があって
30分に1本くらいの割合で九份方面に行くバスが出ている。

九份に近くなってくると、コンクリの堤防がある細い川沿いに
みっしり2階建くらいの建物が並んでいて日本のひなびた温泉地という風情。
鬼怒川とか飯山温泉あたりにそっくりだった。

バスは山を登り、目的地に着く。
気温は台北よりも低く、霞がかった景色は雲と海の境もわからない。
観光客がひしめく古い、土産物屋が並ぶ商店街を抜ける。
商店街には魚丸湯という「つみれ汁」や臭豆腐、あと
サーターアンダギーみたいな甘い揚げ物なんかが売られている。
わたしたちはエリンギを揚げて塩と味の素をぶっかけたスナックを買った。
店頭に並んでいるエリンギは日本の数倍も大きくて、揚げたても美味しかった。
ところどころにキーホルダーや天然石を売る店があって
昭和で止まっているかんじが日本の観光地にそっくりだ。

しばらくすると道は下り坂になってくる。左右に細い路地が伸びて、猫がいる。
アーケードの屋根が切れたあたりで、道の両側に茶館が見えてくる。

いちばんの老舗「阿妹茶酒館」で日が暮れるまでゆっくりとお茶をいただく。
赤い提灯が並んで、夕闇に浮かぶ様子はまさに「湯婆々の館」だった。